忘れられない南フランスのちいさな村で
ときおり思い出す旅の思い出。
きっと忘れたくない思い出、忘れちゃいけない思い出やから、何回も心に降ってくる、あの日の出来事。
大学3年生の夏休みに訪れた、フランス。
私は田舎に行ってみたくて、ただひたすら南にくだることにした。
フランスでの予定はあと1週間ほど。
帰りの便を考えると自由なのは後少しやなぁと思いながら、ひたすら南に向かった。
南フランスに「世界一美しい村10選」みたいなウェブ記事に載っていた村があったので、とりあえずそこを目指すことにした。
揺れる列車はとても穏やかで、旅の終わりを告げているような、瞬きの眩しさを教えてくれているような、景色やった。
終点について、そこからバスで向かえる場所に、世界一美しい村はあった。
バスの時間はあと5時間後。
私は終点駅Cavaillonのあるちいさな町を散策し、ベンチに座ってお絵描きをし、スーパーマーケットをうろうろした。
バス停では定刻になってもこないバスを、B5サイズのスケッチブック兼日記帳に絵を描きながら待っていた。
「飽きた」と思ったときに、ひとりの青年が声をかけてくれた。
彼はシャールスと言って、目の前の時刻表は更新しておらず、時刻表に書いてあるバスは来ないことを教えてくれた。笑
家が近くにあってそこからお母さんが車を出してくれるかも!というので、付いていくことした。笑
良い子は真似しない方がいいかもしれないが、私は少しの勇気と沢山の好奇心で彼について行った。
Oppedeという町あたりのバスを降りて、オリーブ畑や葡萄畑を越えて行く。
この土地の歴史や、オリーブのおまじないのこと、家族のことを話して、この上ない旅の道やった。
いつか忘れてしまうと思うと勿体ない気持ちになって切なさも混じった。
「もう少しだよ!」なんて聞きながら、思ったよりも歩いてやっと家についた。
するとびっくりするほど、
夢に見たような理想の家が待っていた。
2匹の馬とやんちゃなワンちゃん、それに少しツンデレなネコちゃん。
そして、目を見ひらくほど素敵で美しいお母さん。
二階建ての家にはそれぞれ家族の個室と客室があって、wi-fiまで完備。(もはやエアビー!)
お母さんは家の真横にあるちいさな部屋でカウンセリングの仕事をしていた。
お母さんの仕事が終わってから「もう暗くなるから」とおうちに泊めてもらうことになった。ほんまにウルルン滞在記。
「どの部屋がいい?」と客室か家を出た妹の部屋のどちらか選べたので部屋を見せてもらう。(ゲストハウスより好待遇)
三階の角部屋のドアをあけると、なんと壁には着物と桜のウォールステッカーが飾ってあったのだ。
「わたしは呼ばれて来たんかな」と不思議な気持ちになり、その部屋に決め、本かテレビの世界に入ってしまったのではと感動した。そして、すごく感動した。(2回言いたくなるほど!)
朝起きると、好きに食べてねと、多めのコーヒーとお母さんが大好きというクロワッサンを朝食としていただいた。(フランスの美人はほんまにクロワッサンを朝食べるんやな。)
それから目的の美しい村に連れて行ってもらったり、一緒にフランス料理のお店へ行ったり、彼らの友人も加わり、村の橋や小さなお城を巡った。
フランスの就活の話や、歴史、移民や文化の話なんかもして、夜にはユーチューブでマイケルジャクソンを皆んなで観た。
お母さんはつっよい葉巻きをぐおんぐおん堪能して、私は息ができなくて自室へ逃げてしもたけど。笑
目的やった美しい村は、いまや富豪たちの別荘でだれも本当の生活をしておらず、昔からの住民は高くて住めないような物価の町になってしまったそう。
私にとって、美しい村は彼らの住んでいる場所になった。
小高い丘の上に小さな見張り台のような城のようなものがあり、下には畑や家々がある、素朴で人の暮らしがある美しい村。
お母さんはよく人から手紙や花束、贈り物をいただくという。
ほんとに贈りたくなる素敵な人で、私は別れを告げるとき、たった4日ほどやったけど涙が止まらなくなった。
本当に大好きになった。私の第2の家族。
子どもができたら、会わせたいので今からフランス語の勉強をします。
3年後くらいに話せるようになりたいな。