あかねの日常ハンティング

あかねの日常ハンティング

刹那な毎日をハントしていきたい。毎日一歩一歩。旅と日々について

「今日は」から始まる小さな日常のはなし

 

「今日は」なんていう平凡な日常をコミカルに話してくれる記事は、最近あまり目にしない気がします。

たぶん、糸井さんの『ほぼにち』くらいなのではないでしょうか。

 

 

「今日は」

 

 

そんな小さな日常を指し示す、キュートな言葉から文字を重ねることを、

久しぶりにしてみようと思います。

 

すっかり「まとめ」ばかりの世の中。

いかに早く目的地につくかを考えながら焦って歩いても良いけど

ふいに花壇に目をやるような、そんなよそ見も必要な気がするのです。

 

 

そう、 「今日は」 休みの日でした。

 

そんな日に限って、腸が荒れ模様なので

しばらくトイレとベッドを行き来する生活をしていました。

 

今日は着物の練習をするぞ!と思っていたので

頑張って腹痛を忘れ、時間を計りながら着物を着る。

 

やはり着物は美しくって。とくに腰のラインが良いのです。

スっとしているようなセクシーなような後ろ姿、

身体のほとんどを覆っているのに、そっと覗くうなじが絶妙。

 

着物を着て街を歩くと、信号につかまってるのを良い機会だと思った警備員のおっちゃんが「わしも、娘や奥さんに着せれるんです。」言うて、なんやえらいニヤニヤしてきはりました。

それが彼にとって、とても得意げでそして誇らしく、またその話が分かる人がここに居ることが嬉しくて、きっと彼はニヤニヤと笑みを浮かべているのでした。

 

そんな信号を過ぎて、警察署に向かい、免許証の裏の住所を変えてもらいました。

確認すると打ち込んでもらった住所が間違っていて再度やり直してもらった。

(警察の人もちいさなミスするんやなぁ)

なんて改めて当たり前のことを感じ、謎の親近感をいだきました。

 

通り過ぎる、警察署。

ホワイトボードには『昨日の被害総額:○○○○円』の文字。

今もどこかで誰かが悲しい思いをしているのかと、ふっと考えてみて、

この前読んだ西加奈子さんの『i』を思い出しました。

(主人公は大きな事件の志望者、まちがえた死亡者数をノートに書いているのです)

 

志望と死亡、同じ発音なんやなぁと不意に考えてみる。

 

 

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着物をきてどこに行くかというと、面接でありました。

着付けの仕事がしたくて探し中。

でも働く時間が短いので見つけられない。(そらそうだわね。)

 

着いた先はビルの一室。

バイトの面接なのに、やたら熱のある面接でした。

たぶん社長なのだけど(名乗らなかった)、中国の人で「あなたにとって仕事とはなんですか」「あなたにとって着物とはなんですか」なんていう質問攻めでした。

そんな質問をしてくれるなら『プロフェッショナル~仕事の流儀~』のバックミュージックでもかけてほしい。

 

バイトってこんなに熱い感じだっけ?

恐らく社長の彼、うーん、チェンと名付けよう。

チェン氏は面接しながらも次のビジネスのチャンスを探す男でした。

 

私が働いているホテルの運営状況を聞き、なにか一緒にできないか模索したり、

「大阪だったら新店舗どこが良いと思う?」と次の展開の相談にも話は膨らむもんだから、

私は(あれ?今日ってバイトの面接よな?)と何度も自問しすることになりました。

 

チェン氏の質問がとてもアバウトの質問だったので私は正直に答えるべく「こういう場合ならこうで、こういう場合ならこう」という感じで答えようとしました。

だって、何かの答えって1つとは限らない。

 

そんな私に、チェン氏は

「あなたは、もうちょっと自己分析した方がいいですね」とアドバイスをくれた。

 

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バイトの面接ってこんなんだっけ?

 

ビルを後にして、私は根本的に自信の無い自分と真面目過ぎる自分を責めた。

「答え」なんて何でも良かったのに、正直に答えようとするから「うーん」と唸るのです。

(だって、「絶対こう!」って「絶対ない」と思うんだもん。)

自分の思想なんて放っておいて、分かりやすく伝えてあげればよかったと反省し、またアドバイスを真に受けた。なんせ純粋でそして真面目なんだもの。

 

真に受けた私は久しぶりに、わざわざ自分を知りたくなりました。

休みだし、予定もなかったので、自分のことを知るために『占い』を使ってみることにした。人に自分のことを話すことで見えるものがあったりするからです。

まぁなんせ『自己分析』にはしばしば飽きていたのです。なんか、嫌だしね。

 

ネットで近所の占いを調べるとクーポンを発見。

口コミの評価もよかったので、ネットで見つけた占いに行ってみました。

 

店内に入ってみると、若い女性が多いんやね。

遊びで来てる人も多いと思うけど。男女の不思議だな~なんて。

 

 

そういえば以前、鬱っぽくなった時に行った占いの人は、本当によくて、占い師というよりも背中を押してくれたり、問題の解決法や心の見方を教えてくれるアドバイザーでした。そんなんだったらいいな~と、さっそく占いブースへ。

 

しかし、今回はお店も違うのもあってか、そんな感じではなかった。

自分が分かってることをただ同じように言っていて、聴いた言葉を並べてるだけの方でした。

タロットはなんとなく面白いけど、今回はいまいち。10分で出たくなっちゃうくらい。

さらにネットで見つけたクーポンは使えなかった。「うちでは、そういうのやってないんです」と。じゃあ、私が見つけたアレは、どこのなに? ぷん!

 

しょうもない占いを出ると、ビルが夕日に映えて美しかった。

私は私。大丈夫。

もうしばらく占いに頼らなくても、自分で解決できる。

だって彼女が言っていたことが、意味をなさないくらい自分で知っていることばかりだったのだから。

そんな自覚が(大したものでなかった占いのおかげだろうか)芽生え、なぜか勇気が出てきてよかった。

 

BIGISSUEが売っているのを見るのは、本日で二回目でした。

でも一度目は買わなかった。何というか、話しかけにくい雰囲気やったから。

二度目に出逢ったおっちゃんは、キリスト教信者みたいなオーラが出ていて、感謝の念を体現しているような人でした。

私はそこでBIGISSUEを買い、沢山感謝のコトバを頂きました。おっちゃん、ありがとう。

 

そして、交差点でうろうろと迷っているバックパッカーを見つけました。

 

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彼は、か弱そうにそして少し恥ずかしそうに「はなだこを探している」と英語で伝えてくれたので、サッと英語で返してあげた。

着物きて英語で困っている人を助ける瞬間ほど、「アイアムクーール!」と叫びたくなる瞬間はない。ありがとう、青年。

 

気持ちよくなったので、広くきれいになったという噂の歩道橋を散歩しました。

どこ見てもビル!という景色だったけど、それぞれが誰かの想いで必死に作られたものだと思うと、ビルのひしめきも美しい。

 

歩道橋から下を覗くと、

バックパッカーの彼は、ちゃんと「はんだこ」のラインの中にいた。

 

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自信がなくなったら、たぶん、占いに話しを聞いてもらいにいくより

困っている人に話しかけて助けてあげた方が良い。

 

お金を使わず、得を積んで、気分が良くなって自尊心が高まるのだから。

 

ちゃんちゃん。